CRT(心臓再同期療法)の適応とCRT-P・CRT-Dの使い分け

【CRTについて】

  • 心臓再同期療法(Cardiac Resynchronization Therapy:CRT)は、心室内伝導障害に伴う収縮の非同期性を改善し、心不全症状や心機能、予後の改善を目的としたデバイス治療である。
  • 洞調律か心房細動(AF)かも重要で、心房細動では房室伝導が亢進してHR↑になると両室ペーシングの頻度が減少してしまう。→AF患者で高い両室ペーシングが得られるなら有効

CRT non-responderの存在

CRT植込みを行ってもCRTの効果が十分でないnon-responderが存在しているが、要因としては以下のものが考えられる。

患者背景

  1.  NYHAⅣの患者では心不全に対する効果が弱い。
  2. 心不全の罹患期間が長いとCRTの反応性が悪い。
  3. 心筋が線維化してしまったら不可逆。心筋細胞が線維組織に置き換わる前に早期に導入すべき
  4. CLBBBのみCRTの有用性が示されている。
  5. QRS幅が120msec以上でも協調運動が保たれている症例が3割程度存在する。

植込み時の要因

  1. LVリードを心尖部に置くと反応が悪くなる。収縮遅延部位に正確に置くのが一番効果的。
  2. LVリードとRVリードの距離が長いほうが効果高い。

植込み後の要因

  1. 不適切なAV間隔でのペーシング
  2. AFやPVCなどの不整脈に伴い、十分なペーシングができないことが原因。

【洞調律患者のCRTの適応】

まずは以下のことがクリアできていない場合は適応から外れる。

  • QRS幅≧120 msec
  • 慢性疾患による身体機能制限がない
  • 1年以上の余命が期待できる
  • 標準的な心不全薬物治療が十分に行われている
  • NYHA心機能分類Ⅱ度以上

これは今後出てくるAF患者やPM/ICD適応のある患者も同様

上記を満たした上で以下のようにclass分類される。

classⅠ

NYHA心機能分類Ⅱ~Ⅳ度

  • LVEF≦35%・完全左脚ブロック(CLBBB)・QRS≧150msec
  • LVEF≦35%・CLBBB・QRS 120-149msec・女性

classⅡa

NYHA心機能分類Ⅱ~Ⅳ度

  • LVEF≦35%・非LBBB・QRS≧150msec
  • LVEF≦35%・LBBB・QRS 120-149msec

classⅡb

NYHAⅢ~Ⅳ度

  • LVEF≦35%・非LBBB・QRS120-149msec

NYHAⅡ度

  • LVEF≦30%・非LBBB・QRS120-149msec

【心房細動患者・その他頻脈性不整脈患者のCRTの適応】

classⅡa

NYHAⅢ~Ⅳ度

  • 高頻度で両心室ペーシングが可能・LVEF≦35%・LBBB・QRS≧120msec
  • 高頻度で両心室ペーシングが可能・LVEF≦35%・非LBBB・QRS≧150msec

classⅡb

  • 薬物治療でコントロール困難な頻脈に対して房室結節アブレーションが必要となる左心機能低下症例

【PM・ICDの適応がある、もしくは植込み後の患者に対するCRTの適応】

高頻度の右室ペーシングは心室収縮の非同期性を引き起こし、ペーシング誘発性心筋症(PICM)の原因となる。右室ペーシングによる心機能低下が認められた場合にはCRTへのアップグレードを検討する。また、新規ペースメーカー植込み時に高頻度の心室ペーシングが予測される患者では、LVEFに応じてCRTや刺激伝導系ペーシング(CSP)を検討する。

classⅡa

NYHAⅡ~Ⅳ度

  • LVEF≦50%・PM/ICDの適応もしくは高頻度の心室ペーシング依存が予想される場合
  • LVEF≦35%・既にPM/ICDが植え込まれており、高頻度に心室ペーシングに依存し心不全増悪をきたした場合

classⅡb

NYHAⅠ度

  • LVEF≦50%・PM/ICDの適応もしくは高頻度の心室ペーシング依存が予想される場合

CRT-PとCRT-Dの使い分け

CRTには、ペーシング機能のみを備えたCRT-Pと、除細動機能を併せ持つCRT-Dがある。

項目 CRT-P CRT-D
心臓再同期療法 あり あり
徐脈ペーシング あり あり
VT/VFに対する除細動 なし あり
主な目的 心不全改善 心不全改善+突然死予防
デバイス関連の負担 比較的小さい ショック作動・リード関連合併症などを考慮
  • CRTは心不全死を抑制するが、心臓突然死予防効果はないことが報告されている。
  • そのため致死性不整脈のリスクが高い場合はICD機能を付加したCRT-Dの適応となる。
  • CRT-PとCRT-Dの選択では、CRTの適応とICDの適応をそれぞれ評価することが基本となる。
  • 高齢、フレイル、重度の併存疾患、進行した心不全などにより非不整脈死のリスクが高い場合は、ICD機能を追加する利益が限定的となる可能性があり、CRT-Pも選択肢となる。

【まとめ】

(chat GPTで作成)

【参考文献】

  • 草野研吾 (2018) 『不整脈デバイス治療バイブル-適応・治療・管理まですべてマスター-』南江堂
  • JCS/JHRS 2018年改訂版不整脈非薬物治療ガイドライン
  • JCS/JHFS 2025年改訂版 心不全診療ガイドライン

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循環器内科医 / 不整脈専門。 カテーテルアブレーションやCIED診療を中心に循環器診療に携わっています。 研修医・医学生・若手の先生が少しでも循環器のことに興味を持ってもらえたら幸いです。