勉強トピック

抗MRSA薬について

概要

現在使用できる薬剤は以下の通り.
グリコペプチド系:バンコマイシン(VCM), テイコプラニン(TEIC)
アミノグリコシド系:アルベカシン(ABK)
オキサゾリジノン系:リネゾリド(LZD)
環状ペプチド系:ダプトマイシン(DAP)
※血中濃度測定(TDM)が必要→VCM, TEIC, ABK
※静菌性→LZD

各薬剤について

〇バンコマイシン(VCM)
TDMの目標値:トラフ値≧10μg/ml(重症感染症の場合は15~20μg/mlが目標)
※トラフ値≧20μg/mlでは腎障害の可能性↑
使用方法
CCr≧30→0.5g/6hもしくは1g/12h(高齢者では0.5g/12hもしくは1g/day)
CCr≦30→腎機能障害発生率が高率になるため代替薬を検討
㊟副作用
腎機能障害, 聴覚障害
レッドマン症候群(静注後10分で体幹上部に発赤)→500mg/h以下で緩徐に投与
〇テイコプラニン(TEIC) タゴシットⓇ
組織移行性も全般に良好. 骨への移行も良好. 髄液への移行は不良.
TDMの目標値:トラフ値15~30μg/ml(重症感染症の場合は20~40μg/mlが目標)
使用方法
loading dose:400mg(6mg/kg)/12hを2日間
維持量:400mg(6mg/kg)/day
※腎機能低下例は4日目以降は隔日投与or投与量減量
㊟副作用
VCMよりは比較的副作用が少ないと言われている.
〇■リネゾリド(LZD) ザイボックスⓇ
非常に広範囲の耐性グラム陽性球菌(PRSP, MRSA, VRE)に有効で, スペクトラムはVCMを超える.
各臓器, 組織への移行性は良好. 髄液への移行も良好.
腎毒性が低く, 腎機能障害患者でも調整不要.
使用方法
注射→600mg/12h
内服→1回600mg 1日2回
㊟副作用
骨髄抑制(特にPLT↓)→長期投与注意. 1週間に1回採血
〇ダプトマイシン(DAP) キュビシンⓇ
軟部組織への移行は良好だが, 肺胞内ではサーファクタントと結合して抗菌活性が落ち, 肺炎に対する治療効果↓
腎代謝→CCrに合わせて投与間隔変更
使用方法
CCr≧30→6mg/kg/day
CCr≦30→6mg/kg/2days
㊟副作用
横紋筋融解症(CK↑)

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