【概要】
ARNIはARBのバルサルタンよネプライシン阻害薬のプロドラッグであるサクビトリルを1:1で結合含有させたアンジオテンシン受容体ネプライシン阻害薬である.
サクビトリルは吸収後3~4時間で活性体に変換され, ネプライシンを阻害する. 主として内因性Na利尿ペプチドの分解を阻害し, ACEやアミノペプチダーゼPは阻害しない. そのため, プラジキニンの分解抑制作用が弱く血管性浮腫が少ないと期待される.
【心不全治療における推奨度】

☆HFrEF
ACE阻害薬もしくはARBが処方されているNYHA 2-3の症候性心不全において切り替える(classⅠ).
急性非代償性心不全かつLVEF≦40%のNYHA 2-3の患者に対して血行動態が安定後の退院前にARNIの投与を考慮する(classⅡa).
☆HFmrEF
症候性のHFmrEFに対して, 心血管死または心不全入院の抑制を目的としてARNIの投与を考慮する(classⅡa)
☆HFpEF
症候性の左室駆出率が正常以下のHFpEF に対して, 心不全入院の抑制を目的としてARNIの投与を考慮してもよい(classⅡb)
【種類】
■サクビトリルバルサルタン エンレストⓇ
高血圧症では100mg, 200mgの剤型しか適応通ってない
適応:①慢性心不全 ②高血圧症
用量:①エンレストⓇ 1回50mg 1日2回で開始し, SBPをみながら増量していく. MAX 400mg
②エンレストⓇ 1回200mg 1日1回. MAX 400mg
【ポイント】
-
ACE阻害薬から切り替える場合は36時間以上空ける必要がある(血管性浮腫を防ぐため)
-
副作用で皮疹が出ることが結構ある.
【Evidence】
☆PARADIGM-HF試験
HFrEF患者においてARNIがACE阻害薬も生命予後を改善させた.
サブ解析では心不全死だけでなく, 突然死を予防する効果も示唆された.
☆PARALLEL-HF試験
日本人HFrEF患者において心血管死または心不全による初回入院においてACE阻害薬と有意差は認めなかったが, NT-ProBNPの有意な低下を認めた.
☆PIONEER-HF試験
急性非代償性心不全かつLVEF<40%の患者において, エナラプリルと比較して退院8週間後のNT-ProBNPの低下および心不全再入院の抑制を認めた.
※約半数がACE阻害薬やARBを内服していなかった(切り替え症例ではない)
☆PARAGLIDE-HF試験
LVEF≧40%で30日以内に心不全増悪入院歴のある患者において, ARBと比較して有意にNT-ProBNPを低下させた.
☆PARAGON-HF試験とPARADIGM-HF試験の統合解析
LVEF≦57%ではARNIが心血管死および心不全入院の複合イベントを有意に改善した.
【参考文献】
●JCS 心不全診療ガイドライン(2025)










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