事前準備
MISTを救急隊から聴取する.
M(Mechanism of injury):受傷機転
I(Injury site):損傷部位
S(Signs):サイン
T(Treatment):応急処置→酸素投与, ネックカラーの装着, バック・ボード固定, 圧迫止血
☆用意するもの
放射線技師に連絡, 救急カートの準備, モニターの準備
Pre-Primary survey
ER到着から診察ブースまでの移動時間に以下のことに注意する.
第1印象(First impression)
①「わかりますか?」と声をかける→AとDの確認
②脈を触りながら胸の動きを確認する
③四肢の冷感などないか確認する
Primary survey
モニターを装着し, 酸素リザーバーマスクで酸素100%を同量で継続する.
☆A(Airway)の評価
わかりますか?に対して返答ができていればOK
☆B(Breathing)の評価
[頸部]
頸椎カラーが装着されているので, 頭部を正中中間位固定してもらい, 診察が済んだら再度装着すること
頸静脈の怒張, 呼吸補助筋を使用した努力様呼吸, 気管の偏位, 皮下気腫
[胸部]
視診→聴診→触診→打診の順に考える
視診:呼吸数, SpO2, 胸郭の上がり方, 左右差
聴診:呼吸音の減弱, 消失, 左右差
触診:胸郭の動揺性を確認, 皮下気腫を確認
※胸郭は手の全体で覆うように触ること, 転落では背部を受傷することも多いので背部もしっかり触ること
打診:鼓音, 濁音
※鼓音は前胸部2カ所, 濁音は側胸部2カ所
☆C(Circulation)の評価
評価項目としてSHOCKとFIX-Cを確認すること
[SHOCK]
S(Skin):四肢の冷感
H(Heart rate):脈の触知, 心拍数
O(Outer bleeding):外表出血
C(Capillary refilling time):CRT>2秒
K(Ketsuatsu):血圧
[FIX-C]
F(FAST):腹腔内出血の検索のためのエコー検査
I(IV):静脈ラインの確保を行い, 初期輸液(輸液は乳酸リンゲルのほうがよい)
※初期輸液は39℃に加温した細胞外液を大人なら1~2L, 小児なら20mL/kg×3 mLを急速輸液
X(Xp):胸部Xp, 骨盤部Xp
※初期評価では腹部Xpは基本は行わない
※胸部Xpに関してはポータブルによる座位A→P像(antero-postero;前後像)になることが多い
気胸→仰臥位では検出力が劣る
胸水→仰臥位では肺野全体に広がるため, 評価困難
C(Compression):圧迫止血
→出血s/oで初期輸液に反応しない場合は「入れて, 入れて, 止めて」
入れて:輸血
入れて:気管挿管
止めて:止血術
☆D(Dysfunction of central nervous system)の評価
意識レベル(GCS, JCS), 瞳孔径, 対光反射, 四肢運動, Cushing徴候の有無を確認する
「切迫するD」を見逃さないこと
-
GCS≦8, JCS≧30
-
GCSの急な2点以上の低下
-
脳ヘルニア徴候(瞳孔不同, 片麻痺, Cushing徴候)
→これらを認めた場合は脳外科コンサル, 気管挿管, Secondary surveyの最初に頭部CT検査
☆E(Exposure and Environmental control)について
裁断して脱衣し, 体温測定および体表被覆を行う
【ポイント】
・Primary surveyでみつかる異常は命を脅かす危険性が高いため, まず集中的に評価・治療介入を行う
・診察の経過中に予想しない状態の悪化が起こったときは, もう一度Primary surveyに立ち返り再評価