【概要】
ヘンレループ上行脚にあるNa-K-Cl共輸送体(Na再吸収, K再吸収)をBlockする→Naを尿中に留め(Na利尿), 水の再吸収も抑制する.
利尿作用は強力である. 急性心不全において, ループ利尿薬の静注は即効性かつ強力な利尿作用をもつため, 前負荷・うっ血の軽減に大変有用である.
遠位尿細管や集合管でNa再吸収が代償されることで抵抗性が生じる.
腎障害時にも有効であるが, 無尿の場合は禁忌
適応:うっ血性心不全, 腎不全などの浮腫軽減
副作用:Na↓, K↓, 高尿酸血症
※低K血症になる仕組み:ヘンレループ上行脚でKの再吸収が抑制されるのに加えて, そのあとの集合管においてNaが尿中に豊富であるためアルドステロンの作用が亢進するため, Naの再吸収およびKの排泄が促進される.
【種類】
〇■フロセミド ラシックスⓇ
作用時間が短く(4-6時間), 降圧作用は弱い.
体液量や血圧の変動から, 神経体液因子(RA系, 交感神経系)の影響を受けやすい=RAS阻害薬やβ遮断薬の併用が重要
オススメ:急性期の体液コントロール
注射から内服に切り替える場合は注射の2倍量を内服してもらう.
注射:ラシックスⓇ 1回10-20mg iv 30分で十分な利尿(≧100mL/h)がなければ, 倍量ずつ増量していく
※1回静注投与で十分な利尿効果が得られない場合は, 持続静注が有効とされる.
内服:ラシックスⓇ 1回40-80mg 1日1回
■アゾセミド ダイアートⓇ
半減期が2.6時間と最も長い.
循環動態変動作用が緩徐であり, 神経体液因子への影響が少ない.
オススメ:慢性心不全の浮腫や胸水の改善
用量:ダイアートⓇ 1回60mg 1日1回
■トラセミド ルプラックⓇ
用量:ルプラックⓇ 1回4-8mg 1日1回
【ポイント】
・RAS阻害薬と基本は併用すること(β遮断薬よりも先に入れる方が良い)
・アルブミンと結合して作用を発揮するため, Alb低下例だと効果↓