循環器

BNPとNT-ProBNP

【概要】

脳性Na利尿ペプチド(BNP:Brain natriuretic peptide)は心室で合成されるホルモン.
利尿作用と血管拡張作用を有している.
循環血液量の増大, 心肥大, 虚血, 拡張期血圧上昇, 拡張期容積増大(LVDd↑)などの心室壁へのストレスによって合成が亢進することで心不全の重症度を示唆する.
BNPは心室で前駆体preBNPとして合成され, さらにやや低分子のproBNPとなり, N末端側2/3部分(NT-ProBNP)が除去されたものがBNPとして活性を示す.
NT-ProBNPは腎排泄に依存するため, 腎機能低下例では高値になる. 高齢者・AF患者でも上昇傾向である.
<心不全カットオフ>
BNP>35pg/mL, NT-ProBNP>125pg/mL→前心不全または心不全の可能性がある
BNP>100pg/mL, NT-ProBNP>300pg/mL→心不全の可能性が高い
<半減期>
BNP:20分
NT-ProBNP:120分

【計測するタイミング】

①心不全を疑う自覚症状・身体所見があったとき
②心不全の増悪期, 安定期(コントロール期), 新たな治療介入後
③慢性心不全や器質的心疾患での定期測定(心不全Stage B~D) ※心不全Stage Aでも年1回は測定

【注意】

・病名は心不全(s/oは×)
・月1回まで測定OK
・BNP, NT-ProBNPの同時算定は×

【ポイント】

・ARNIではネプライシンを阻害しBNPの分解が阻害されBNPが上昇してしまうため, 心不全のうっ血の指標としてはNT-ProBNPを使うことが多い.

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