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SGLT2阻害薬

2023-08-12

概要

・近位尿細管のSGLT2を選択的に阻害し, 糖の再吸収を抑制し, 尿中の糖が増える(浸透圧利尿)→尿量増加
・高血糖状態ではSGLT2を介して糖の再吸収とともにNaの再吸収も行われる. その結果, 遠位尿細管でNaClが減少したとご認識することでGFRが上昇しているにも関わらず, GFRが低下していると認識してさらにGFRを上昇させるようになる.これにより, 糸球体の高血圧および過剰濾過が起こり, 腎臓の負担が増える.→これを抑えることにより腎保護作用も増える(Na利尿)

引用:2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療

心保護・腎保護・血糖上昇抑制に働く.

種類

■ダパグリフロジン フォシーガⓇ
単独投与では低血糖を来しにくく, 体重減少・血圧低下作用を有する.
eGFR<25のときは慎重投与
適応:①2型糖尿病, 1型糖尿病
   ②慢性心不全(HFpEF, HFrEF), CKD(末期腎不全, HD症例を除く)
用量:フォシーガⓇ 1回5mg 1日1回. 効果不十分な場合は10mgに増量可 
   フォシーガⓇ 1回10mg 1日1回
■エンパグリフロジン ジャディアンスⓇ
性器感染症のリスク増加やインスリン分泌不全の患者におけるケトアシドーシスの報告があるので注意
適応:①2型糖尿病
   ②慢性心不全(HFpEF, HFrEF)
※CKDに関しては臨床試験提出中
用量:ジャディアンスⓇ 1回10mg 1日1回. 効果不十分な場合は25mgに増量可
   ジャディアンスⓇ 1回10mg 1日1回
■カナグリフロジン カナグルⓇ
適応:2型糖尿病, 2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(DKD)
eGFR<30の患者に新規投与はしないこと.
用量:カナグルⓇ 1回100mg 1日1回

術前休薬

・手術やカテーテル治療の際の中止期間はDM+の人は3日前から, DM-で心不全のため内服している場合は食止めのタイミングで中止し, 食事再開のタイミングで再開する.

Evidence

☆EMPEROR-Preserved試験
LVEF≧40のHFpEF患者においてエンパグリフロジン群が心不全入院のリスクを低下させた.
☆DAPA-HF試験
HFrEF患者においてダパグリフロジン群が心不全の悪化および心血管死を減少させた.
☆DAPA-CKD試験
慢性腎臓病患者においてダパグリフロジン群が腎不全の悪化および死亡率を減少させた.

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